『アルペジオ』by 新津きよみ
身長150cm足らずと小柄で華奢な由布子は、ひょんなことから手に入れた拳銃に勇気を得て、巨体の夫が暴力をふるう家を飛び出した。だが行くあてもなく途方にくれていると、ジムのインストラクターで女性ながら180cm近い長身の逸美に拾われる。
実は逸美にも、銃を突きつけて土下座させてやりたい相手がおり、ふたりはとりあえず試し撃ちをしに行く。その道中、由布子のかつての恋人で、破局をきっかけに警察に入り、今は音楽隊でクラリネットを吹いている良介が、偶然由布子の姿を見かけていた。
うーん、正直プロットがてんでバラバラで、最後は何とかまとめてあるものの、あの話もこの話も拡散してしまった感じ。
副題には「彼女の拳銃 彼のクラリネット」とありながら、音楽と拳銃を絡めた話が描きたいのか、DVとそれにまつわる心の揺れを描きたいのか、由布子と同じく小柄な父親や良介を登場させて、「小さいから弱い」という甘えに対する目覚めを描きたいのか、悩んでしまった。もうちょっと狭く、深く、掘り下げた方が副題も生きたような気がする。物足りなさが残った。

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