"Nobody's Baby But Mine" by Susan Elizabethe Phillips

 高級娼婦を装ったIQ180の天才物理学者ジェインは、36歳の誕生日を迎えた花形フットボールプレイヤー、カルへのチームメイトからのプレゼントとして送り込まれた。34歳になるジェインはどうしても自分の子供がほしかったが、タイムリミットは刻々と迫ってくる。「飛び級」のせいでまともな青春を過ごせなかった彼女は、自分の子供がそんな目に遭わないよう、頑健ながらオツムの弱そうな相手を選んで妊娠し、ひとりで育て上げようと考えていたのだ。

 子供さえ宿ればそれでおしまいのはずだった。だがカルはすべてのカラクリを探り出し、ジェインの身勝手さに激怒しながらも、子供の父親としての権利を主張してジェインと結婚した。カルの古風な倫理観に驚かされたジェインだが、さらに彼の父親は医師であり、カル自身も生物学の最優等学生だったと知って愕然とする。

 あれもこれも、あり得ねー!という設定で、ストーリーとしてはなかなかおもしろくはあるものの、作者の独りよがりというかこじつけのような気がしなくもない。流れが不自然なのは否めないが、二人が丁々発止とやり合うさまは小気味よく、その一方でカルの両親のロマンスの再生?やカルの祖母の存在感、敵対するかと思われたKevinの善玉ぶりなど、脇役がけっこう読ませてくれた。

| | Comments (0)

"Nights in Rodanthe" by Nicholas Sparks

 夫が若い女性のもとに去ったあと3人の子どもを何とか育てあげたアドリエンヌだが、このところの気がかりは、若くして最愛の夫に先立たれた、2人の幼い息子の母もである長女のアマンダのことだ。

 絶望と喪失感から抜け出る気力のないアマンダに、アドリエンヌは同じような絶望と虚無を味わってきた自分の来し方を、静かに語って聞かせる。

 うーん、整いすぎている……かもしれない。アドリエンヌは洞察力のある、とてもバランスのとれた人格に描かれているが、それならどうして夫が若い女性にうつつを抜かす?なんて疑問を感じてしまった。だが数少ない登場人物はそれぞれに味があって、特にアドリエンヌの父は印象深い。

 結末が透けて見える流れながら物語は甘やかで、中年にさしかかるふたりのいくぶん恥じらいを含んだ熾き火のようなロマンスは、しっとりと心にしみ入る。泣かすのうまいな~(^^;)。

| | Comments (0)

"IRON LACE" by Emilie RIchards

 1965年、ニューオーリンズ。一介のジャーナリストにすぎないフィリップのもとに、地元の由緒ある名家の老貴婦人から、自伝の口述筆記をしてもらいたいという依頼があった。なぜ何のゆかりもない黒人の自分が?といぶかりつつ、フィリップは広大な屋敷に老婦人を訪ね、名家の女家長の話に耳を傾ける。

 老婦人の話は、彼女の父親の世代にまで及ぶ、時代と運命に翻弄された長い長い苦悩と後悔と愛憎の物語だった。彼女はその身が朽ちる前に、何とか人生の誤りを正しておきたいという切なる望みを抱いていた。そして、口述筆記の依頼を受けたことでフィリップの人生も根本から覆ることになる。

 人生はときに抗いようのない運命を用意している。男女を問わずその運命の前に打ちひしがれて潰れる者もいれば、流れに身をゆだね、あるいは時節を待ち、あるいはその時々での最善を尽くすことで、為す術もなく運命に飲み込まれることを潔しとしない者もいる。

 本書のヒロインである老貴婦人オーロールもまた、幾重にも張りめぐらされた運命のいたずらに果敢に挑んだひとりである。たとえそのエネルギーの源が愛情と表裏一体の憎悪であろうと、複雑な時代背景のなかで昂然と前を見据えて運命を切り開いていった勇気は清々しい。心揺さぶられる一冊。

| | Comments (2)

"Survivor In Death" by J.D. Robb

 夜中にそんなものを飲んだらママに怒られるけど、でもオレンジフィジーが飲みたい……その思いつきと、お茶目な行動力がニキシーの命を救った。

 お泊まりしている親友のリニーは誘っても目を覚まさず、兄を共犯者にすることもあきらめて、住み込み家政婦のインガを起こさないように、こっそりと台所でオレンジフィジーを手にしたニキシー。すると、得体の知れない影がインガの部屋に忍び込むのが見えた。好奇心に駆られて部屋をのぞき込んだニキシーの眼前で、天井まで血しぶきが飛んだ。影は、恐怖にすくむニキシーに気づかないまま2階へ上がった。そして……幸せを絵に描いたような一家は全滅した、リニーをニキシーの身代わりとして。それはほんの数分間の出来事だった。

 現場に駆けつけたイヴは、事件の生き残りであり目撃者でもあるニキシーの、血にまみれた虚ろな姿に立ちすくむ。自分の過去が強烈に脳裏によみがえったのだ。イヴは児童保護を拒むニキシーを屋敷に引き取ったあとも幾度となく悪夢に脅かされ、過去の傷の深さを思い知らされると同時に、遅々として進まぬ捜査に悶々とする。手がかりは皆無で、殺戮のプロと思われる犯人と幸福な一家とのつながりは、どこをたぐっても出てこなかった。

 出だしからぐいぐいと読ませてくれる。話が進むほどに、冷徹このうえない手口と平凡な一家庭のギャップにとまどい、誰が何のために一家を惨殺したのかという疑問がふくらむばかり。それでも過去のトラウマと闘いながら、ルークとの絆を支えに捜査を仕切っていくイヴは、やっぱりどうしようもなくかっこいい。合間に挿入されるちょっとしたエピソードやちょっとした小物の使い方のうまさには、思わず唸ってしまう。

| | Comments (0)

4502

あれとこれとと思いつつ、まったく手が出ない……:-) 絶不調、絶好調で継続中ってか? ま、そういう時期もあらぁな。と考えるしかない。

だけど洋書を読む速度が、やっとこさ、ちびりぃっっっっっとだけ、上がってきたかも??? ひとつでもプラスがあるなら、ま、それで良しとするしかない。

中1クラス。中間テスト2日前。まぁずまず、かな。うまくいけば80後半から90点代、ポカミスを連発すると60~70点台という感じか。健闘を祈る。

【読書】
レベッカのお買いもの日記2』読了。
……はちゃめちゃな世界ですな(^^;)。買物依存とローン依存を奨励するようなコメディ。以前、軽いノリの一人称を訳していて、「だって~でしょ?」というフレーズがどうしても多くなる作品があったが、同じタイプ。でもやっぱり多いと鼻につくというのがよくわかった(^^;)。Amazonレビューを読むと、シリーズ1とは訳者さんが変わったような。参考のために1も目を通してみようかしらん……。

| | Comments (0)

"Drive Me Wild" by Julie Ortolon

 水もしたたる男ぶりでアンカーマンを務めているブレントは、幼なじみのローラから思いがけず電話をもらって、嫌な思い出ばかりが残る故郷の大がかりなチャリティバザーに、特別ゲストとして参加することになる。かつてテキサスの片田舎でつまはじき者だったブレントが唯一心を許せたのが、町の有力者の娘で分厚い眼鏡をかけたお人好しのローラだった。

 ローラはブレントへの積年の想いを胸に秘めながら、偏屈で高慢な父の世話と慈善事業に追われるだけで人生を終えることになるのかと悩んでいた。ブレントはアンカーマンとして堂々たる成功をおさめて故郷に凱旋しながらも、実はいまだ子供時代のトラウマから抜けきれず、他人に心を許すことができない。

 一見したところでは何不自由なく暮らしているように見えるふたりの、葛藤と、成長と、恋模様の紆余曲折がコミカルに描かれた一冊。ローラが意外に頑ななら(父親似?)、ブレントはあんがい臆病だが、人間そんなものなのかもしれない。ラストのぶっちぎりがまぁ迫力があったから許そう。

| | Comments (0)

"The Challenge" by Susan Kearney

 女性ながらシークレットサービスのトップとして大統領を護衛していたTessaは、大統領の楯となって銃弾に倒れた。だが目覚めてみるとどういうわけか見知らぬ男に裸で抱きかかえられており、おまけに300年後の未来に飛んでいた。存亡の危機に瀕している地球とRystanという星を救うために、銀河連邦が催すテスト「チャレンジ」の挑戦者として、時空を越えて選ばれていたのだ。

 Tessaは右も左もわからぬ世界でコンピュータのDoraを友人に、男性絶対主義国家Rystenの指導的立場にあるKahnから「チャレンジ」に必要な超能力を叩き込まれるが、その過程でKahnと結婚する羽目になる。女は男に服従すべきものと考えてきたKahnと自立したTessaはあらゆる面でぶつかり合うが、2つの星の運命が自分たちにかかっているという共同責任のもとで、やがて互いに愛情を覚えるようになる。

 スターウォーズ張りのSFものとしても、アクションものとしても、恋愛ものとしても、なかなか楽しめる一冊だった。大がかりなわりには破綻がなく、ストーリーにはくっきりとメリハリがあって、最後の「チャレンジ」も心憎いばかりの設定だ。超能力を使ったラブシーンはひたすらスゴイ(^^;)。どうして最初は「裸」だったのか。これも色っぽいだけの話ではない大切な伏線で、作者の想像力には脱帽するばかり。

| | Comments (0)

"REMEMBER WHEN" by Nora Roberts & J.D.Robb

これはJ.D.Robbのデス・シリーズの番外編になるのかな? 2部構成で、前半はノーラ・ロバーツのロマンス、後半はJ.D.ロブのイヴ&ロークが活躍するのだけど、ダイヤモンドをキーワードにうまく話をつなげている。

前半のロマンスの主人公はなかなかタフで、絶体絶命のピンチに陥ってもみごとな機転を利かせる。まぁだいたいロマンスのヒロインは頑固で、じゃないと話が続かないわけだが(^^;)、頑固なだけじゃなくて”can take care of myself”のところが潔いかも。まぁそれも無事だったから言えることだが……。

イヴ&ロークは、やはり切れ味と、濡れ場と、ジョークの混ぜ加減が絶妙かも。シリーズものよりページ数が少ない分だけ、どんでん返しや迷路にはまり込むほどの広がりはなく、どちらかと言うとかなりストレートな印象だった。ただ事件現場がエグイ。どんどんエスカレートして、読む方も麻痺しそうなのがコワイ。

| | Comments (0)

"EVIL UNDER THE SUN" by Agatha Christie

 Lethercombe湾に浮かぶSmugglers島は、知る人ぞ知る孤絶された避暑地で、長期滞在型の避暑客たちがそれぞれに優雅な休暇を楽しんでいた。そこにあらたに到着したのが、元女優のアレーナとケニスのマーシャル夫妻に、継子のリンダだった。だがアレーナは、居るだけで男性の心をとりこにする妖しい魅力を放つ女性で、滞在客のパトリックと火遊びをはじめる。

 打ちひしがれるパトリックの妻、クリスティーン。継母を憎悪の眼で見つめるリンダ。寡黙ながら、内に秘めた何かを感じさせるケニス。ケニスの幼なじみで、アレーナとの離婚を迫るデザイナーのロザモンド。太陽の下にも悪魔は存在すると指摘する牧師。人々のさまざまな思惑が渦巻くなか、アレーナが扼殺死体となって発見される。避暑客のひとりとして島に滞在していたポアロは、州警察の協力して捜査に乗り出すが、関係者にはみな、鉄壁のアリバイがあった。

 ミステリの設定としては、隔絶された避暑地、限定される容疑者、崩せないアリバイなど、割合よく見かけるパターンかもしれないが、さすがはクリスティ、とても一筋縄ではいかない。

 まず、ガードナー夫人という口から先に生まれたような、強烈な印象のアメリカ人観光客を前面に出すことによって、それぞれに個性ゆたかな滞在客たちの「イメージ」を、読者に固定させてしまう方向に、ごく自然に持っていったのはすごいことだと思った。さらに、何気ない描写の端々に挟まれた伏線が単なる伏線にとどまらず、ポアロに、きちんと説明がつかないこと自体が興味深いと言わせる、大きな鍵に発展する過程もみごとだ。

 トリックそのものは、やや忙しいというか苦し紛れのように感じる部分もあったが、それでも実に心地よく、してやられた!という気分を味わえる1冊だった。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

"Cat Among the Pigeons" by Agatha Christie

イギリスの名門女子校メドウバンクでは、夏学期がはじまろうとしていた。応接室で新入生の母親、ミセス・アップジョウンと面談していたバルストロード校長は、つかのま校庭でのできごとに気がそれた。すぐにミセス・アップジョウンの話題に意識をもどしたが、何かとても大切なことを聞き逃したような、後味の悪い思いが残った。バルストロード校長のそのいやな予感は、現実のものとなった……。

夏学期がはじまる6ヵ月前のこと。中東のある国で革命が勃発し、国外に逃れ出ようとした国王と専属パイロットは飛行機事故で死亡した。国王は死の直前、どうやらおびただしい量の宝石類をパイロットにあずけたらしいが、宝石の行方は杳として知れなかった。そして国王の許嫁がメドウバンクに入学したことから、平穏無事だったメドウバンクに暗い影が差しはじめる。第一の殺人、第二の殺人、許嫁の誘拐、そして第三の殺人。

いくつもの伏線が巧みに配されていて、そのわりにストーリーそのものはむやみに複雑ではなく、読み進んでいくのが楽しい一冊だ。上流家庭の子女を預かる女学校のそれぞれに特徴のあるスタッフ、寄宿舎で学ぶ陽気で無邪気な少女たち、王族の娘を監視するために庭師を装って入り込んだ情報部員、そしてエルキュール・ポアロと、登場人物はバラエティに富んでいて、なかなか興味深い。

特に、エルキュール・ポアロ登場に一役買ったジュリアの洞察力と機転と勇気はすばらしく、また、停滞を嫌って常に先を見ているバルストロード校長は、本当に意味で頭のよい、胸のすくような女丈夫だ。ラストのエピソードも、そ子に登場する人物たちも潔く、全体的にとても読後感のさわやかな一冊。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

より以前の記事一覧